よちよちハイハイができるようになった頃、カラッと晴れた日に迎える「公園デビュー」。お母さんはベンチに座り、赤ちゃんは砂場にお尻をついて、それぞれ思い思いの「井戸端会議」を始めます。この井戸端会議こそ、子どもの情操教育と親の交流形成に欠かせない儀礼になっています。
今回は、この公園の井戸端会議と菌の増殖について取り上げてみます。話に夢中になっていたら、知らず知らずのうちに菌が増殖していた……なんて事態にならないために。
最近よく目にするのが、公園の砂場に覆うように掛けられたカバー。深夜、散歩中に放されたペットが砂場を目指して用を足すこともあるらしく、朝来てビックリ! なんてことにならないための防止策であるようです。砂いじりの最中も、口もぐもぐ、目かゆかゆ、鼻ずぅずぅの子どもたち。さらに、井戸端会議からの緊張と気持ちの抑揚で、オムツのなかもさぞかし忙しいことでしょう。ましてや、砂あそびに夢中になっている子どもを砂場からかかえ出すのは、新米ママには至難の業。ときには他のお母さんとの話に夢中になり、砂場に目をやるタイミングもおろそかになります。
細菌が増殖しやすい環境がオムツのなかでつづくようであるとしたら、好ましいことではありませんね。尿道が短い幼児にとって、膀胱炎や尿道炎は発症頻度が高い、ありふれた病気なのですから。そこで子どもの発熱では、耳や咽頭(のど)の腫れを見るだけでなく、尿を診ることも大切なことと言われています。
さて、クランベリーのポリフェノール成分「プロアントシアニジン」は、菌(とくに糞便由来として知られる大腸菌)の尿路上皮への接着・凝集を阻害し、尿路感染症を防ぐ作用に優れています*1。
また、クランベリーに含まれる酸味成分「キナ酸」(体内で馬尿酸に変換)が、尿のpHを下げ酸性化することで、菌の増殖に適さない環境を作り出すことも知られています*2。
もちろん何はともあれ、尿道口、女児の場合は外陰部も清潔に保ってあげることが大切です。それでも、井戸端会議大好き! 宣言をされるママもきっといるはず。そこで気づきを得たママには、クランベリージュースを飲み続けることをおすすめします。親子それぞれの体格に合わせ、適当な量を飲みましょう。
シリーズ第3回は、「井戸端会議」の菌に挑む、クランベリーの抗菌作用と尿酸性化作用についてお話しました。
■注意事項
〇尿路感染を発症されている方は、医師の指示に従い、適切な治療を受けてください。
〇クランベリーを含む他の健康食品の一部は、抗凝固剤ワーファリンの効果を減弱させる可能性が報告されています。ワーファリンを服用している方は、クランベリージュース飲用について医師にご相談ください。
■参考文献
*1 Howell AB. et al., Inhibition of Adherence of P-Fimbriated Escherichia coli to Uroepithelial-Cell Surfaces by Proanthocyanidin Extracts from Cranberries. New England Journal of Medicine. 1998; 339(19): 1085-1086
*2 Kinney AB. et al., Effect of cranberry juice on urinary pH. Nursing Research, 1979; 28(5): 287-290