「最近、もの忘れが多くなった」と記憶力(アタマのメモリー機能)の衰えに悩む人、「めっきり覚えが悪くなった」と学習力(アタマの認識機能)の減退におびえる人、あなただけではないですよ。
脳の神経細胞の数は生まれたときが一番多く、傷つけば新しく再生する他の組織の細胞と異なり、再生させることが難しいのが現実です。結果、脳の神経細胞数は歳とともに減っていく一方。ハタチを過ぎると一日に10万個減っていくとも言われています。なのに、世の中生きてくためには、覚えなくちゃならないことはいっぱい。そりゃ、一部のことは忘れる、一部のことはアタマに入らない……というのも仕方ないのかも。「昨日の夜、何を食べたっけ?」程度のことなら、ゆるしてあげましょう。日常体験の一部を忘れる(かつ自覚している)という「もの忘れ」、人生体験で大切なことを蓄積しておくには避けようがないのでしょうから。
しかしながら、脳はあらゆる器官の情報処理と精神活動をつかさどっているという事実があります。アタマの健康を保てなくては、カラダの健康は維持できません。
脳は、神経細胞を正しく働かせるためにたくさんのエネルギーを求めます。必要なエネルギーは、酸素とブドウ糖を消費して得ます。適度な運動と正しい食事を心がければ、エネルギー産生に必要な酸素とブドウ糖が補給され、アタマの健康が保たれます。
アタマの健康と食生活の深い関係については、多くの発表があります。そのほとんどが、水分補給を基本に、抗酸化作用のある果物や野菜をよく摂り、肉より魚を多く摂りましょう、というものです。その一つに、抗酸化成分を含むクランベリージュースがブレインヘルスに寄与する、とした報告があります*1。
そしてもうひとつ、アタマへの適度な刺激も大切です。たとえば、カラオケで懐かしのメロディーにはまり、抜け出せなくなること、ありますね。このとき、詞や曲が当時の体験や思いと結びついて、脳をほどよくもみほぐしてくれています。こんなときこそお酒はほどほどに、クランベリージュースを飲みたいですね。
そんな気づきを得た方は、クランベリーでアタマを働かせてあげましょう。クランベリージュース単独の適量については、一日あたり200mlから300mlで十分であるといわれています。
シリーズ第7回は、「アタマの健康(ブレインヘルス)」から考える、クランベリーに秘められたチカラについてお話しました。
■注意事項
〇感覚、思考の変調を覚える方は、神経内科、心療内科、精神神経科、脳神経外科などの医師の指示に従い、適切な治療を受けてください。
〇クランベリーを含む他の健康食品の一部は、抗凝固剤ワーファリンの効果を減弱させる可能性が報告されています。ワーファリンを服用している方は、クランベリージュース飲用について医師にご相談ください。
■参考文献
*1 Crews WD, et al. A double-blinded, placebo-controlled, randomized trial of the neuropsychologic efficacy of cranberry juice in a sample of cognitively intact older adults: pilot study findings. J Alt Comp Med, 2005; 11(2):305-309
■関連図表
● 脳の部位と役割
[出典 厚生労働省, 平成15年国民健康・栄養調査より(一部改変)]